
一瞬の表情です。
染めるための色を入れた瞬間。
手元の実物は、もう別の姿をしております。
例えるならアレですよ。
雨の中を傘もささずにやって来た女性が、玄関を開けるとはにかみながら「来ちゃった」って言うときのアレみたいなものです。
上手くいけば恋愛ドラマの一発逆転になるかも知れません。
ところがどっこいしょ。心から迷惑がられるというリスクも伴います。
凸凹のさ、凹んだ部分が異様に艶やかだからでしょうか。
異様さもあります。
お客さまは見ることの無い姿です。

さてこちらは、名刺入れ作り会場の模様です。
いつもより早いですね。
やっぱり、陽射しが半分あたってるくらいで撮れば、いろいろな表情が良く分かるんじゃないかと思いまして。黒色のレザーの。
黒といっても、光の加減でいろんな見え方しますね。いつまででも見てられます。
なので、言葉で簡単に伝えるのは難しいのかも。
艶やかと言えば艶やか。でも、艶は控えめの方ですよ。
もっと光り輝きたければ、オイル多めに磨き上げるという手もあります。
そうなんです。僕らは基本的には自由なんです。
さて、話はそれましたが、後ほど型で成形することになるパーツを優先して進めています。
先に取りかかって、完成するのは最後になる方です。
ウサギは途中で眠るので、どんどん進んでもらわないと。

「あっ」って思うかもしれませんよ。
今夜のレザーの傷の話を聞いたら。
「あっ、ひょっとしてアレがそうだったかも…」なんて。
さて、写ってるのは黒色のレザーですね。
裁断しているとこで、蝶番になる穴を開けてます。
ところで、どんなに大事にしてても、傷つけることはありますよね。
レザーの話ですよ。
ちょっとした傷なのに、ベージュっぽいレザー本来の色が出て来ちゃったことはありゃしませんか。
目立つので、いっそのこと似た色のペンでチョンチョンって塗ってみたりして。
「あー、ちょっと目立たなくなったかなー」なんつって。
一方で、同じくらい傷ついたんだけど、そんなに気にならないことはありませんでしたか。
それは、ひょっとしたらレザーの染色の違いかも知れません。
表面を塗ったものと、染料を深く染み込ませたものの違いですね。
深くまで染み込ませたものを “芯通し” と言いまして、傷が目立ちにくいんです。
それで、色付きのレザーは全て芯通ししたものを使っているんですよ。
もちろん、私の作る物に色のバリエーションが少ない言い訳でもあるかも知れません。

136秒、実測。
打刻面の染色に掛かった時間です。
…いや~っ、普通こんなことしないんですが、ふとどの位なのかって思って測ってみました。
子供のような好奇心です。
凹凸の、凹んだとこにだけ色を入れております。
そもそもね、この染色は隠し味みたいなものでして。写真では伝わらないかもしれません。
カルガモだかオルガンだかいう香辛料を使ったっていう唐揚げを食べましてね、すっごく美味しかったんですけど、香辛料についてはよく分からなかったです。
そんでもって後日、香辛料の入ってないのを食べた時にキュピーンと来ました。全然違うって。
そのくらいの差。
…こんな感じです。
染み込みにくくしてても、液は着々とレザーに染み込みますので、スピード勝負。
136秒…計ったはいいけど、早いのか遅いのか。