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2014年1月18日 (第二部) 「あー、忙しいいそがしい」なんて言いながら

“Tシャツ” の縫い付け(オーダーメイドの三つ折り財布)
“Tシャツ” の縫い付け(オーダーメイドの三つ折り財布)

三つ折りのお財布に、カードポケットを縫っていきます。
「あー、忙しいいそがしい」なんて言いながら。

忙しいという字はね、心を亡くすと書きますね。
そういう理由で「忙しい」という言葉はあんまり好きでは無いんです。

でもね “ぐるんぱのようちえん” に出てくる子だくさんのお母さんが「あー、忙しいいそがしい」って言いながら洗濯してるシーンは好きなんです。

知らない方のために、念のため。
“ぐるんぱのようちえん” は、何をやってもすぐに解雇されて、職を転々とするゾウさんの絵本ですよ。
泣きながら路頭に迷うゾウのぐるんぱは「あー、忙しいいそがしい」って言いながら洗濯してるお母さんと出会ったことを切っ掛けに、幼稚園を開くんです。

…ところで、レザー業界ではね、この形のパーツを “Tシャツ” と呼ぶんですよ。
なんでそう呼ぶかって言いますとー…いや、内緒にしときます。大切な秘密だから。

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2014年1月17日 (第二部) ミチコ救出、完了

内縫い後、ひっくり返したガマ口
内縫い後、ひっくり返したガマ口

ミチコ救出、完了。
イイ笑顔を見せておりますねー。
口金もついて、小銭入れ部分の完成です。

これ、ちょっと珍しいと思いますよ。
いやね、折りたたみの財布で、ガマ口の口金がついてるのは別に珍しくないんです。
でも、そういう財布で小銭入れ部分がぷっくりしてるのは無いんです。なかなかね。
いくつも試作して、狙いすました絶妙のぷっくり。

もちろん、個性的な良い所がある裏返しで、全体のバランスへの悪影響も考えられます。
そのあたりも調整して型紙を作ったつもりでいるんですが…

ひとまずは、ミチコさんがいつもの微笑みを見せてくれたということで、いいんじゃないかな。
オーダーメイドのご希望をかなえるには、賭けることも必要だからねー。

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2014年1月16日 (第二部) 大丈夫かーっ、傷は浅いぞーっ

ガマ口の小銭入れ部分の内側(オーダーメイドの三つ折り財布)
ガマ口の小銭入れ部分の内側(オーダーメイドの三つ折り財布)

謎の物体ですね、はい。
妖怪でしょっ、妖怪つくってんの?みたいな。
たとえば仮にこれが妖怪だとすると、ただ今ミチコは食べられそうになっているところです。
ミチコは、人気者のウサギキャラですよ、念のため。

さて、三つ折り財布も小銭入れ作りに入っております。
これは、ガマ口を縫ってるところでーす。
コの字型のステッチは、本体との縫い合わせ部分。
上下は、小銭入れを袋にするために内縫いをしてるとこ。
縫う順番からして、どうしてもこういう姿になりまして。

夜も更けて参りましたが、もうちょっと進めたいですねー。
今も、たまに思うんですよ。
堂々と好きなことをしていられるなんて、信じられないことだって。

なにせ、ミチコがこの中にいますからね。早く救出しないと。
大丈夫かーっ、傷は浅いぞーっ、つって。
ひっくり返すときに気を付けないと…ミチコ、しわくちゃになります。
「亀を助けて、海の底とか行かなかった?」みたいな。

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2014年1月15日 (第二部) 小さな一歩を重ね続けて

オーダーメイドの三つ折り財布のパーツの下ごしらえ
オーダーメイドの三つ折り財布のパーツの下ごしらえ

すべてのパーツの下ごしらえが完成しました。
オーダーメイドの三つ折りのお財布のパーツです。

おめーらも、ようやくやる気出してきたか―、なんつって。
ちんたらちんたらやってきたのに、急にやる気になってるように見えるかも知れませんねー。
「おめーも、ようやくかー」みたいな。

でも、本当は違うんですよ。

裁断したとこのヤスリ掛け。番手を変えて二回。
裏面の磨き。切断面の磨き。切断面を磨いたことで毛羽立った裏面を、もう一度磨き。
ちなみに、団長さんやミチコさんの後姿を磨くときは、必ず型にはめます。

…外からは見えずらいとこです。五感をフル活用して、手触りや撫でたときの音。
小さな一歩をね、重ね続けてるわけです。

本人すら気がつかなくったってね。
ちなみにー。団長さんやミチコさんの後姿…これで、見おさめですよー。

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2014年1月13日 (第二部) 暖かくして手を動かせるなんて

オーダーメイドの三つ折り財布の下ごしらえ
オーダーメイドの三つ折り財布の下ごしらえ

那須の冷え込みは厳しいです。
そんな中、暖かくして手を動かせるなんて、嬉しいなぁって、しみじみ。

三つ折り財布のカードポケットを、一つひとつを下ごしらえしてます。
口の部分をヤスリ掛けしたり、奥の縫う部分をすいたり。

ブルブル震えながらでは、きっとアレですよ。厚着して震えながらでもキーボードは打てるけど。
言い訳に聞こえるかもしれませんけど…

ブルブルしながら革をすくのはなぁ…
ふと気付いたら指先が血まみれになってて、指のどこを切ったのか寒くて分からなくて、レザーに血が付かないようにしたくって慌てる、みたいなね。
かるーい、トラウマみたいなものでしょうかね。

そんな思い出があるから、よけい嬉しいんですかねー。
寒い中で、あったかくしてお仕事。良いもの出来る予感。

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2014年1月12日 (第二部) 「いや~っ、いい湯だったね~」なんつって

エンボッシングによって現れた “ミチコ” と “団長”
エンボッシングによって現れた “ミチコ” と “団長”

「ミチコさん、団長さん、本番ですよ」なんつって。
本番の三つ折り財布用のレザーに、お二人の姿を浮かび上がらせました。

どうでしょね。
二人とも試作品より可愛らしくなってると思うのですが…
垢ぬけたっていうか、表情が柔らかくなったっていうか。

ご依頼者様からコメントで頂いたイラストとか、紹介いただいたサイトを見まして。
可愛らしくしてるポイントはどこか、良いとこ探ししましてね。

…ところで、この加工をした直後は、レザーはとにかくびしゃびしゃに濡れてます。
言わば、水もしたたるミチコと団長。
「いや~っ、いい湯だったね~」なんつってたりして。

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2014年1月11日 (第二部) 職人さんの意見は…

オーダーメイドの三つ折り財布用のレザー一揃い
オーダーメイドの三つ折り財布用のレザー一揃い

裁断、完了。パート、ツー。
オーダーメイドの三つ折り財布に使うレザーがそろいました。
団長やミチコが入る予定のお財布ですよー。

ところで、今夜はね、ちょっと毒づきます。
なので、そういうの嫌いな方はここで。また明日ということで…

何カ月か前にね、すっげー腕の太いおじさんがレザーを切ってる写真と一緒に、こんなキャッチコピーを見まして。
「職人の力強い腕が、分厚い革の裁断に活かされてます」みたいな。

これを読んだ瞬間にですね。
「あっ、これっ、職人さんの意見が入って無い」って感じまして。
広告とかキャッチコピーの人だけで考えたんだろうなーって。

なんでそう思ったかと言いますと、まず、細腕の女性作家さんとかがね、どんどんすごい作品を作ってる世界なわけです。
それで、そういう女性が筋トレ三昧かっていうと、そういうわけじゃないんです。

そもそもですね…

  1. 片手でレザーをつまみ上げます。
  2. もう一方の手で革包丁あてて、下ろします。
  3. 切れてます。

…というのが、刃物の研ぎの目安なわけです。
職人さんの意見は…押し切られちゃったのかな。レザーを切るのはうまいのに。