6つのアイテムに映した
6人の物語
1.気付く事すら出来ぬ少女
2.打ちひしがれた少年
3.守り切れぬ殉職者
4.落ち伸びる放浪者
5.敗れる事を知っている戦士
1.無邪気な少女の笑顔
2.少年の気高き孤高
3.殉職者の崇高な祈り
4.旅人の遥かなる夢
5.戦士の密かな聖なる誓
6.魔術師
6人の身に
命にすら興味の無い
得体の知れない“恐怖”が
迫っています。
少女はいつも通り目を覚ました。窓を開け、心地よい風の流れを身に受ける。
飛びついて喜ぶ愛犬と笑い声。いつも通りの毎日が始まる。
…何も、気付けずに。
少年は、朝の街を食べ物を探して歩く。誰も助ける者はいない。
肩がぶつかり、道に倒れても、顧みる者も無い。誰も声をかけない。
もう、十分苦しんだはずだ。
…さらに奪おうと“恐怖”は現れる。
「…まさか、こんなことが…」
命の終わりを悟り、思いを巡らす。
まじめに生きてきたのに…
なぜ、オレだけがこんな目に…
オレより酷い奴なら沢山いる。例えば…
「…逃げるしかない。」
とてもじゃないが、あんなものにはかなうはずが無い。
結局、みんな自分が可愛いんだろう。
「…逃げるしかない。」
幾度か“恐怖”と剣を重ね、戦士は悟る。
格が違う…
殺される。
…それでも“逃げる”という選択肢は戦士には無かった…
“恐怖”を前に
導かれるように5人が集う
その時
“恐怖”は…
“恐怖”を前にしても、少女はいつも通り微笑む。
「みんな頑張って。頑張ったら必ず報われるんだよ。」
…呆気にとられるのなんて、どこ吹く風「…本当は、悪い人じゃ無いかもよ。」
少年は“恐怖”を睨み返す。
誰かにすがろうとすれば、これまでも出来た。それでも、そうしなかったのは、体の中心を貫く芯のようなものが導いた。
何より…貫くべき信念がある。
…倒れた殉職者の脳を、遠い記憶がかすめる。…全てを捨てても、守りたいものがあった…
…大した力は無いけれど、せめて、あいつらを守りたいと祈ったんだ…
そして再び“恐怖”に向けて顔を起こす。
“恐怖”から逃げ出した…
旅は楽ではなかったが、たくさんの人と出会い“恐怖”の情報も手に入れていた。
…気付くと、放浪者は“恐怖”の元を訪れていた。
「…なぜ、戦っているんだ」
負けると知りながら戦う戦士が惑う。
そして、誓いの言葉を胸に聞く。
「…そうだ。そうだったな。」
傷つきながら、戦士は踏み止まる。
…追いつめられ、誰もがもう駄目だと思った時。
五人は、集っていた。
そして、それぞれの本当の力を輝かせることが、魔術師を呼ぶ鍵だったのです…
この物語は、持つ人の人生の物語に思いを馳せて物を作る戸辺義昭がお送りしています。
この物語の登場人物は、全て、あなたの心の中にいるのかもしれません。
それが、第一章の状態か第二章の状態かが違うだけで…