ストーリー

プロローグ

人生の物語を楽しむ貴方へ。
「人生の物語にそっと寄り添うものを」
そんな思いでものづくりをしております。

昔、趣味で作っていた頃のことです。
「こんなの見たことがないです」
そう言って瞳をキラキラさせる姿を見るのが大好きだった私は、かねてから心を込めた手作りの品の特別な力を知っていました。

命を落としかねない病から立ち直った私は気付きました。
自らの心に素直に生きられることの素晴らしさを実感しました。
そして、個性的な人生の物語を勇敢に歩んでいる人に尊敬と共感を日に日に感じるようになります。

そして今、日々作り続けています。
ときには癒し、ときには励まし、ときには心躍るような物語にそっと寄り添うものを。
そんな気持ちで “Your Side Door”

ゴミ捨て場の子供

ものを大切にする心を、私は知りませんでした。
幼いころの話です。

生まれ育った家は、タダのものを集めるのが大好きだったんです。
タダでもらえる割り箸。
タダでもらえる小さなお醤油。
タダでもらえるポケットティッシュ。
タダでもらえる小冊子。
タダでもらえるカレンダー。
新聞の折り込み広告も細かく切ってメモ用紙にしましてね。

「ものを大事にしてたんだね~」って思うかも知れません。
…逆なんです。

割り箸は繰り返し洗っていました。
でも、出来るだけ汚らしくないのを選んで使います。
薄汚れて、ホコリをかぶったおびただしい中から、少しでも綺麗なものを。

冷蔵庫を開ければ、いろんな小さなものが落ちます。
いつもらったか分からない醤油やカラシの小袋が棚にたまっていて、出来るだけ新しいのを探します。
いつなにが漏れたか分からないシミだらけ。

ポケットティッシュやチラシを切って作ったメモ用紙で溢れた棚。
月が変わってもめくらないカレンダー。
殺虫剤と調味料がまぜこぜに置かれた床。

ゴミ捨て場の中で、使えそうなものを見つくろう生き方。
ものへの愛着はありません。全てを雑に扱います。
…すると、不思議なことにもともと大切だったはずのものも雑に扱うようになります。

そしてものを大切にしない心は、人すらも大切に出来ないのかも知れません。
身近な人も、自分自身さえも。

慈しみ

青年となり独り暮らしをはじめました。
すると、まわりとの違いに気付きだします。

大切なものを大切につかう。お手入れする。
大切な人に大切に接する。

貴方は当然と思うかもしれません。
でも私には、まさに目からうろこが落ちるようでした。

最初に手に入れたのは、数百円のお箸です。
五角形で先が尖っていて「合格箸」なんて縁起物でした。

調味料を入れるちょっと洒落た容器をそろえはじめました。
安ものですが、ティッシュも無地のものを買います。
本は新品で買うからこそ勉強になると考え始めます。
カレンダーからは世界の絶景を垣間見れます。

そして、革と出会います。
5年…10年、さらに長持ちします。
なにより、大切にするほど味わい深く愛おしくなる。
すっかりその魅力に取りつかれました。

気付けば…
大好きなもの、大切なもの。
そういうものにばかり囲まれて生きていました。

(*加筆中のページです。“To Be” こと、戸辺 義昭 2016年12月2日)

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